エチゼンクラゲを追って、秋の佐渡島へ



巨大なクラゲとともに泳ぐと、どんな気持ちになるのだろう。

エチゼンクラゲの海を求めて…。


褒め殺し推奨のナイスガイ、モテブロガーのid:yoghurt と共に佐渡島に渡ってまいりました!
旅の目的は、巨大なエチゼンクラゲとともに波間を漂うこと。これは俺の夢の1つでもあり、この旅の成否いかんによっては個人的なファンタジーの1つが叶えられてしまうのです。
というようなことをtwitterでさりげなく呼びかけてみたら、それを目にしたヨーグルトさんが「一緒に夢を叶えようゼ…」と俺の肩をポンと叩いてくれたので、一緒に行ってきました。なんて素晴らしい男なのだろう、彼は…。

しかし海はヤバい


上のようなヤバい魚が、目と鼻の先を泳いでいきます。

仲間が襲われました





パニック映画のモンスターのように、堂々と姿を現したコブダイ

ブゥン……。

「危ないっ!」

ギャアアアーッ!!!

本当は優しい魚です


ブレているからパニック映画さながらですが、本当はほのぼのした牧歌的な光景でした。コブダイは気が優しくて臆病であるものの、ここのは餌付けされているから人間を見つけると自分からヒュルヒュル近づいてきてくれます(ただし見た目は兇悪)。

ナポレオンフィッシュなどと同じくベラの仲間で、熱帯魚のような可愛らしい姿でメスとして生まれ、有能な個体のみが途中で性転換します。そうしてコブと顎が異常発達したオスに変わるのだそうです。テリトリー内でのランク付けと外見の美しさとが、トレードオフの関係になっている。

レンタカーでめぐるS字型の島

クラゲダイブの成否は後からご報告することにして、レンタカーでぐるりと巡った佐渡島の観光スポットをご紹介します。

大きな地図で見る
佐渡島は、アルファベットのS形をしています。SADOの頭文字を取って”S”というわけではないと思います。島を一周するとかなりの長距離になるのですが、主たる観光スポットはS字の中央で凹んだあたりに分布しているため、車を使えばそれほど時間はかかりませんでした。
レンタカーの営業所は新潟からの船が発着する両津港にも何店舗かあり、船を降りてからすぐに車に乗り換えることができます。

小木港のたらい舟




足腰のしっかりした老婆たちの漕ぐ舟が、波をちゃぷちゃぷかき分けていきます。
スピード感やカタルシスには乏しいものの、後から「たらい舟乗った?」って聞かれるに決まっているし、佐渡=たらい舟なので初めて来た人は結局みんなが乗るはめになります。




エチゼンクラゲの死骸が浮かんでいました。この湾内にまで入ってくることもままあるらしく、いやが上にも期待が高まっていきます!!

宿根木の集落


小木港の近く、石畳に覆われた情緒たっぷりの宿根木集落。

三角の土地に建てられた三角家。
ものすごく風情のある街区となっていて、こんな言い方をすると怒られるかもしれないけど横溝正史金田一シリーズの舞台に選ばれていてもおかしくありません。

宿根木公会堂の建物も、激しく離島っぽい。

世捨て小路。
名前の由来はよく分かっていないそうですが、俗世間にすっかり嫌気が差し、死滅回遊魚のように力なく流れ着いた俺たちにはぴったりの場所だったと言えます。

そこから少し脇にはずれたところに、名前も知らない花が咲き誇っていました。ヘチマ状の実みたいなのの先端からブワーッと花が滴り落ちている。なんという名前なんだろう…。

宿根木のネコ

売店の名物ネコがあくびをしていました。







すっかり囲まれてしまっているこのやる気のないネコは、周りの人たちからレオと呼ばれていました。

アン・グランパの真鯛ポワレ


バルサミコソースがけ。アットホームなフレンチのレストランで、名産品である柿を持って帰ることができるようになっていました。

金山


佐渡と言えば金山。江戸時代に掘られた坑道と明治時代に掘られた坑道があるらしく、今回は時間の都合で江戸時代に掘られたほうしか見られませんでしたが、高低差のダイナミズムを活かしたジオラマの見せ方には唸らされずにおれません!


穴倉での暮らし。こともあろうにこの薄暗い坑道の中で、金山労働者を模した人形たちが「早くここから出てェ…。おっかあに会いてェ…」みたいなことをブツブツ喋り続けていたりするので俺たちはもうずっとテンション上がりっぱなしでしたね。

金山にまつわるヤバい謎の儀式。

坑道の外では、モミジが綺麗に色づいていました。

素泊まりの宿にて

さて、島内の観光をサクッと済ませた俺たちは、バスの終電までに夜の食料と酒を買い込まなければならないという時間ギリギリのタイムアタックに挑戦するはめになりました。加藤酒蔵の金鶴や、尾畑酒造の真野鶴、逸見酒蔵の真綾(しんりょう)など、佐渡の地酒を何本か買い込みつつギリギリのタイミングでバスに乗り込みます。

灯りが少なく、7時台でもこんなに真っ暗。カメラを懐中電灯がわりに進むしかありませんでした。

チープながらも楽しい酒盛りだったのですが、お互いのブログのどこがモテないかという駄目出しをしているうちに誰も得をしない痛々しいモテ観語りが始まってしまい、お互い禍根を残す結果となってしまいました。

さて

エチゼンクラゲには、めぐり合うことができたのでしょうか…という話をこれからします。廃校を利用した、渋すぎる北小浦ダイビングセンター。ビーチへはここから5分で到着します。





ボートから2本のファンダイブ。揺れるボートのへりに腰をおろし、バックロールエントリーで着水します。ドライスーツにエアを入れ忘れたまま25メートルまで潜航してしまったせいで、水圧で締め付けられて痣ができてしまうというトラブルもありつつ。

エチゼンクラゲの破片を手にしたヨーグルト。



水底ではクラゲに会うことができず。諦めムードで安全停止。俺たちはロープに掴まって波間に揺られていました。
すると…。




……!!

佐渡を離れる


観光資源は豊富だし、景色も面白いし、海鮮は異常に美味しいし…。とても満ち足りた気分で島を離れます。心残りなのは時間の都合でトキが見れなかったことで、俺はトキに会うのを本当に楽しみにしていたのでした。

……。



買いました。

草月流アートいけばなの世界



東京は日本橋高島屋ファサードを占める、花火のような日輪のような草月のいけばな。


ハイ!…というわけで今年も草月展に行ってまいりまして、絢爛豪華な植物アートの世界にたちまち魅了されてしまったわけであります。

昨年度の模様

作品色々




鉛板の外装をもつ、UFOと現代アートが結婚したような作品。

鬣をもったワームのような作品。




彩色の施された海藻をパリッと立てている、ウーパールーパーのような和紙の提灯。色の取り合わせがとても綺麗でした。

小学生女子の定番アイテム、リリアンを使っている。リリアンというものがしょっちゅう禁止になっていたのは知ってるんですが、ガールズトークに加わることができなくて未だにどんな遊びなのかが全くわかっておらず、漠然と不良っぽい印象を抱くのみです。



なぜか草間彌生テイストを感じる。糜爛です。


斑入りのクワズイモをあしらった作品。

果物ガーデン的な作品。

妖怪油すましか毛有毛現(けうけげん)のどっちかをダイレクトに連想させます。

流木と苔を組み合わせた縄文土器のようなフォルムの作品。

これとか葉に円い穴を開けてベアリングみたいなものを噛ませているんですけど、パンクいけばなの可能性の萌芽さえ感じる。


まるで現代アートみたいな草月ですけど、いけばなのいけばならしさ的な部分に触れるとそれはそれでほっとしてしまいます。






家元である勅使河原茜の、美しい作品。

本日終了


高島屋の草月展は、本日11/10の夕方6時までです。時間が合うかたは一度足を運んでみてはいかがでしょうか。損はしないと思います!

沖縄の海に潜ってきた自慢を始めます(フル)


パパの友達が社長で沖縄に別荘があるんだけどサ、いとこの運転するボートで沖に出て、パライソに潜ってきたよ。パライソって知ってる? 楽園っていう意味なんだぜ。エメラルドグリーンで本当に綺麗だったなァ…。まあ、君たちもお父さんやお母さんに頼んで連れて行ってもらうといいけどネ、沖縄に。アハハハ…。

というわけで、

沖縄の海でダイビングのライセンスを取ってきました。ちゃんと自分で汗水たらして働いて貯めたお金でですヨ。なのでちょっとした自慢くらいは当然許されてもよくて、その自慢をこれから始めます!


無理やりライセンスを取得!


仕事が大わらわだったためにほとんど時間をとることができず、教材のDVDは1.5〜2.0倍速という音声が聞き取れるぎりぎりの早送りで視聴しましたし、テキストは羽田から那覇空港までの2時間で無理やり詰め込みました。意外となんとかなったけれども、お勧めできる方法ではありません。

海が美しい!


実習地の海が、たまたま某友人の庭みたいなビーチだったそうで。こんなところに生まれ育ってみたかったなァ…と溜め息の出るほど綺麗な場所。

おい、きみの地元、ニモがおるぞ!
本当にイソギンチャクと共生してる(笑)
「ニモだァー!」と無防備に近づいていったら、ガリッと手を噛まれてしまいました。クマノミは臆病な魚なので、けして怯えさせてはいけません。

ガンガゼの長い針が渋い! ガンガゼむちゃくちゃカッコいいと思います。ただ、近づいたら間違いなく刺し貫かれてしまうだろうというヤマアラシのジレンマを感じます。

本島は見所満載!











スムーズに実習が終われば、美ら海水族館なんかは無理だとしても、那覇市内を観光して回る時間くらいなら充分に作れます。国際通りにゴーヤバーガー、栄町市場にやちむん通りの焼物街。

熱帯系の大木と現代社会のコラボ。こういう光景は沖縄ならではだと思う。はっきり言ってすごくカッコいいと思いました。

首里城


2000円札のモチーフとなった守禮門。初の沖縄なので、ベタな観光名所の全てに釣られている自信があります。



各所で栽培しているドラゴンフルーツ。サボテンの花のような実り方をします。味は淡白だけど、このようにヨーグルトをかけて食べるとけっこういける。
ちなみに右の実は、カフェのおじさんが撮影用にわざわざ貸してくれました。ありがとうございます!

かぶると洗脳されそうな冠。

おせんみこちゃ。

玉廟(たまうどぅん)



王族の墓所。石室の中には棺などが収められているらしいのですが、この時は入れてもらえませんでした。

識名園




琉球王家が別荘として造営。ベースは日本庭園なんですが、建物や植物が南国系。

沖縄県立美術館


沖縄の海にもよく似たファサード。壁に穿たれたビットから光を導き入れているのが綺麗ですけど、中にはもう1つの壁があって、広くてゆったりした二重構造のエントランスとなっているのが特徴的です。
岡本太郎の沖縄写真が印象的でした。規格外の凄さというか、ソルボンヌ大学で修めた民俗学の素養をベースに撮影しているらしいのですが、そんなようなバックストーリー1つでは説明しきれない、土俗的な感覚を生々しく掬いあげるだけの野生の嗅覚を感じさせます。なお、沖縄の写真集にはプレミアがついてしまっていて1万円くらいする。

慶良間


オプションツアーで、慶良間のパライソやウチザンにも潜ってきました。
幸運が絶頂のときはマンタや海亀にも遭遇できるらしいのですが、たとえ遭遇できなくとも潜る価値は充分にあります(遭遇できなかったけど楽しかったです)。


岩の下にはネムリブカが沢山泳いでいました。特別こちらからなにかをしなければ、危害を加えてくることはありません。

Finding Nimo.
こんな海の底で頭のおかしい人に襲われたら絶対助かりようがない…。もしくは、窒素酔いがもたらした酩酊状態により自分自身頭がおかしくなってしまう危険性もあるらしく、たとえば呼吸を止めたまま海底から浮上しようとすると水圧の低下により肺の中の空気が膨張して爆発するのですが、窒素酔いで判断力が低下することにより、「どれぐらい耐えられるのか、試してみようかナァ…」などと実験精神が芽生えてしまってしまったら大変だ!自分にはいかにもありそうなことなので、想像しただけでも恐ろしいです。

でも、こんなところで死ねるなら本望かもしれない。いやまあ、こんなところで死ぬのはすごく難しいんですけど。

人に嫌われるのが怖い


自慢げに書いたのはそのほうが面白いエントリになると思ったからで、俺にはまったく、自慢する意図なんかはありません…。ただ、沖縄の素晴らしさをもっとみなさんに知ってもらいたかっただけ。その一心で、真心を込めて書きました。自慢げに書いたのはただのネタで、嫌われるのが怖いから今こうして理由を説明しているのですが、とにかく沖縄はよかった…。想像以上にすごく楽しくて、宿代が2000円〜3000円で済むし、たった三日間ですが充実した時間が過ごせました。
マイラーになってクレジットカードの裏ワザを駆使し、JALANAマイレージを貯めまくる人たちの気持ちが今はようやく理解できたような気がする!

6:退廃の都プノンペンを、あてどもなく逍遙する


プノンペンカンボジアの首都なのですが、独裁者ポル=ポトが原始共産主義に心酔し、農業に従事しない知識人や富裕層は死刑だ!と人々を農村に強制移住させたりしたせいで一時期はゴーストタウンと化していたこともあったそうです。
独立記念塔
フランスからの独立を記念するこのモニュメントは、街の中心部でそびえるように打ち立てられています。賑やかだけど、どことなく疲れきっているプノンペンの街。シャルル・ド・ゴール毛沢東の名前が通りの名前として刻み込まれています。
ボール投げ

国立博物館にはアンコール王朝期のクメール美術が数多く展示されていて、かなりよかったです。

国立博物館の庭には、内乱を思わせる兵士たちや母子の像が、アンコール遺跡と同じように砂岩で築かれ、アンコール遺跡と同じようにガジュマルに抱かれて立っていました。この国の歴史についてはけして詳しくないのですが、数々の惨劇もやがては風化し、大木に呑み込まれて埋没していくのだという未来を暗示させます。肥沃な土壌と大自然のもとで、悲しみの歴史もやがては過去のものとなっていく。
仏師
セントラルマーケット(夜)


安宿街



どこかアンニュイなトラベラー達でにぎわう安宿街を訪ね、グランビューというゲストハウスに宿を取ることにしました。
ここでもまた、客引きにしつこく付きまとわれて辟易する羽目に…。表面的には明るく朗らかで、オモシロ黒人風なんだけれども、その瞳は人を何人も殺していそうな底なしの暗さを湛えているのです。『シティ・オブ・ゴッド』『ホテル・ルワンダ』『ダーウィンの悲劇』『バイオハザード5』『ブラックホーク・ダウン』といったような作品に皆勤賞で出ていた顔です。まさかあの顔にリアルで絡まれる羽目になろうとは…。


眺めのよい屋上カフェテリアで、ホワイトコーヒーを注文。
眺め

ホワイトコーヒーとは言うけどベトナム式の珈琲に自分で粉ミルクを混ぜるようになっているというだけの代物で、混ぜてもこんな程度にしか白くなってくれなかったヨ。
隣接レストラン

隣接レストランのアモクが絶品。ココナッツのよく効いたカレー風スープの中に千切りのキャベツが柔らかく煮てあって、歯ごたえシャクシャク甘みがあって、風味や食感にメリハリが出ている。

マンゴーシェイクも美味い!
メニューをよく見たら、特別料金のハッピーシェイクなるものが存在していました。ハッピーピザには大麻草やマジックマッシュルームが含まれているらしいので、ハッピーシェイクにもなんらかの薬物が含まれているだろうことは容易に想像できます。カンボジアを旅するときは、不用意にハッピーと名の付いたメニューを注文しないことが重要です。

キリングフィールド

トゥクトゥクをチャーターして、ポル=ポト派の処刑場跡であるチュンエクのキリングフィールドに向かいました。
衣服
死者達の遺物。



メッセージ
ブーゲンビリア

死の匂いに抗うかのように、ブーゲンビリアが咲き乱れていました。

シューティングレンジ


そのあとトゥクトゥクの運転手に誘われるがまま射撃場でM16アサルトライフルをぶっ放してきたんですが、さすがに不謹慎だったと後悔しています。

物凄い反動があって連射すると明後日の方向を向いてしまうし、狙いを定めるどころではない。瞬く間に撃ちつくされてしまって、もう終わりかぁという感じでした。

鈍く光るM16。ハピネスイズアウォームガン。
みんなからは「AKどうだった?」と感想を聞かれました。確かにAK47カラシニコフとかのほうが共産圏ぽいし、メジャーなのかな? 価格もM16より少し低めに設定されていました。
AKを選ばなかった理由は単にポル・ポトっぽいからという理由で、M16を選んだのはエムなんとかと付くのが正義のアメリカの銃だと知っているからです。もっともポル・ポト派アメリカからの支援を受けていたという事情もあり、そこら辺の空気は読めませんでした。

街の風景



NGOっぽい雰囲気の日本車。
目の錯覚かもしれませんが、大通りの横断幕を眺めていたら「マンパワーによって、我々は全てを乗り越えることができる」なんていうことが書いてありました。ところがもう少し進むと「マンパワーとはボランティアである」というようなことが書かれた横断幕があって、二つの横断幕の内容を組み合わせると「ボランティアによって我々はすべてを乗り越えることができる」という衝撃的な内容が浮かび上がってくる…。
ちなみにキリングフィールドからここまでの写真のみカールツァイスのSonnar135mmを使用。一応出番があったね。手ブレばかりだけども。

グランビュー


カーテンを引いた部屋でモクモクと煙草を吹かしながら、これまでの旅程を振り返るの図。風を受けて膨らんだカーテンの隙間からは、雲や青空がきらめいて見えます。

カーテンの端が翻って青空との面積が入れ替わるさまを、かなり長い間見つめていたと思います。この旅ももうちょっとで終わり。心地のよい疲労感と充実感が、体中を満たしていきます。

スコール


レンタサイクルの手続きを終えて、さて街に繰り出そう…と自転車のハンドルを掴んだ瞬間に大降りが始まってしまい、呆然と立ち尽くす羽目に。



1〜2時間ほどで止んでくれはするものの、降ったり止んだりで何度も立ち往生をさせられました。こともあろうに、雨具を置いてきているのがすごいですよね。(しかもそれでなお予定を決行してしまうあたりが意味不明)

割れた狛犬

セントラルマーケット


遠目にもすぐ見つかる巨大なドーム。セントラルマーケットは全天候に対応しており、スコールなんかじゃびくともしません。



本当になんでも売っている。
クメール文字のプリントされたTシャツを買ったんですけど、日本旅行の外人がよく着ているような、「愛」とか「誠」を謳った恥ずかしいメッセージTの可能性は当然のことながら考えられるわけですよね。
後でホワットイットミーンズと聞いたところ、「これは”クメール文字のあいうえお”だヨ」と教えてくれました。カンボジアじゃあ誰もこんなシャツ着てない!


鶏のギッシリ詰まったケイジに、更にぎゅうぎゅうになるまで鶏を押し込んでいるマダム。

王宮・シルバーパゴダ 〜レンズの死

雨上がりの新緑が眩しくきらめき、街区全体が祝福されているかのような王宮周辺。鳥たちが一斉に飛び立つ瞬間を捉えようとファインダーを覗き込んだ俺を待ち受けていたのは、世にも過酷な運命であった…。

レンズが曇ってファインダーが見えない…。

無理やり撮影すると、ぼかしが入ってしまう。

王宮にも意味深なぼかしが…。不敬なことこの上ないですよね。

やけくそになって、ぼかしのかからない/ぼかしを効果的に用いた構図の研究を始めました。



↑これけっこう面白くないですか? (駄目か…)

「ねぇそこのお兄さん、なんでこんなところがモヤモヤしているの?」
「いや、レンズが曇っちゃってサ…」

ワット・プノン


小高い丘の上に寺院を頂くこの公園は、プノンペン市民の憩いの場となっていました。

その昔、ペン夫人という女性が、拾った仏像を祀るために祠を建てたのがこの丘。プノンペン(ペン夫人の丘)という呼び名は、そのままプノンペン市の語源にもなっています。


(いつの間にかレンズが復活している)

本堂の中。大きさも色も素材もバラバラの仏像が、統一感もなくこれでもかとひしめき合っている。光背を表すものとして電飾を用いているのが新興宗教チックですが、実際に見てみると違和感は感じさせず、かなり面白かったです。




この子は長い髪を前に垂らし、リングの貞子のような格好で髪を梳いていました。めちゃくちゃ怖くて面白かったので撮ろうとしたんですが、撮ろうとした瞬間に気づかれてシャッターチャンスを逃しましたし、「コラーッ☆」と言いながらニコニコ笑顔で追いかけてきたので強く印象に残っています。

ゲストハウス


レンタサイクルを返すために安宿街に戻ると、常日頃から呼び込みのしつこいトゥクトゥク運転手たちが、
「「「ジッテンシャ?」」」
「「「 ア・ブ・ナイヨーゥ!」」」
と日本語で声を揃えて言いました。
極端に車優位な社会なので、道路を渡るために走行中の車を無理やりかいくぐる必要があったりして、確かに旅行者にとってはヘビーだったと言えます。だけど気を抜こうものなら高菜ふりかけのようなものの入った袋を売りつけようとしてくる彼らと較べればよっぽど安全だし、信頼のおける交通手段だったと言えます。

愉快な旅先の1コマで片付けてしまいたいところだけども、全員が麻薬中毒者めいた胡乱な目つきをしているところをみなさんには想像してほしくて、事実これを通りがかる度に繰り返されて俺は結構怯えていましたし、特に片言の日本語がゾンビっぽい嫌な感じを醸し出していて、彼ら自身に対するネガティヴキャンペーンとしては覿面の効果だったと思います。*1

でも

かなり楽しかったです。色々破綻しているし、住人も旅行者もみんな疲れ果てているけれども。ネパールのカトマンドゥのような場所で感じるいわゆるカオスとは異なり、本当に破綻しているという感じでした。
好印象なポイントとしては、カンボジア料理がどこの店に入っても異常に美味しかったせいもあるかもしれない。タイ料理に似ているんですがまろやかでコクがあって、日本人向けにローカライズされたタイ料理なんかよりもさらに日本人好みの味でした。

深夜のカオサンストリート



飛行機でカンボジアを脱出。タイのスワンナプーム空港からタクシーでカオサン通りに向かいます。色んなところで語り継がれている噂通り、タクシーの運ちゃんが頼みもしないのにまじで130キロくらいで飛ばしてくれたことに感動しました。

カオサンストリートでスコールの洗礼を受けている場面。
というわけで、次回はバンコクのカオサンストリート〜王宮周辺の様子をお届けします!

*1:もちろんちゃんとした人もいます。キリングフィールドに連れて行ってくれたのは紳士的でクリーンな青年でした

5:バライに沈む、最後の夕陽


アンコール遺跡で迎える最後の夕陽を、バライからのんびりと眺めることにしました。

プラサット・クラヴァン




パノラマ写真に初挑戦。下の写真は、クリックすると大きくなるよ!
ガルーダにまたがったヴィシュヌ神など、浮き彫りの彫刻が面白かったです。

タ・ケウ





インカだかマヤだかの太陽のピラミッドを連想させられる。階段の落差がありすぎて大変危険だし、今にも崩れそうで大変怖かったです。

頂上には祠が。左隅でスヤスヤと寝ている女の子は、地雷にやられたのか足が片方ありませんでした。


物売りの子供たち


後でお布施を要求されたら嫌だなあと思いつつ、老婆の導きにしたがい遺跡の奥深くへと向かっていく場面*1
遺跡をめぐっている最中に困りものだったのが物売りの子供たちで、たとえばレストランで食事をしていても、食卓に写真絵葉書を開陳しながら「これハ、アンコールワット!」「これハ、タ・プロム」「これハ、バイヨン!」などと片言の日本語で説明しはじめるし、挙句「かッテかッテ! 1枚、1ドールぅ!」となかなか引きさがらないわけです。
「ひとつ、1ドールぅ!」「オニぃサン、かッテかッテ!」
まあ相場は大体1ドルと安いので、本当にいらないもの以外はお大尽様モードで買ったりとかしてたんですけどネ。

ステオン


女の子に写真を撮らせてもらっていたところ、右のステオンという子の左手薬指に光る指輪に気づいてしまったという決定的な瞬間です。
「ひどいな、ステオン。俺をからかっていたのか?」
「……違う。それは違うの、ホフヤマさん」
ステオンはおもむろに指輪を外すと、コトリと音を立ててココナッツの横に置きました。
「今日だけは私、自由の身よ」
「ステオン……こんなのダメだよ」
「いいえ、ホフヤマさん……」




そんな展開は、ありませんでした。

バライ


シェムリアップから遥か西方、西バライへ。

バライとは貯水池を意味する言葉で、高低差から見るにかなりの水が蓄えられそう。この時は乾季だったんですけど、雨季はきっと降水量が物凄いんだろうな。






ハンモックでビールを飲みながら、美しいと評判の夕暮れを待つ。

ディープ・フォレストをBGMにお楽しみください。


バライに沈む夕陽






水浴





次回予告

サンドイッチとシェイクを頬張りつつ、プノンペン行きのバスステーションへ。


次回は、活気あるプノンペンの様子をお届けします!

*1:後でお布施を要求されました

4:女の砦と、1000のペニスの聖域


憧れのアンコール遺跡にめぐり合えて感動に打ち震えたのも束の間、どこもかしこも似たような廃墟ばかりで、二日も三日もぐるぐる回っているとさすがに飽きてきてしまいます…。
賑やかなプノンペンが恋しくなってきたので、遺跡めぐりもぼちぼち切り上げてしまわなければ。

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