4:女の砦と、1000のペニスの聖域


憧れのアンコール遺跡にめぐり合えて感動に打ち震えたのも束の間、どこもかしこも似たような廃墟ばかりで、二日も三日もぐるぐる回っているとさすがに飽きてきてしまいます…。
賑やかなプノンペンが恋しくなってきたので、遺跡めぐりもぼちぼち切り上げてしまわなければ。

バンテアイ・スレイ


赤い砂岩が目を引く、バンテイアイ・スレイ。シェムリアップからはおよそ40kmという遠距離にあります。

バンテアイ・スレイというこの寺の名前は、”女の砦”を意味する。

壁面に彫られたデバターの姿は、東洋のモナリザと称えられたりもしました。
ただし、このデバターはそれとは別物。厳重に囲いがしてあるため、東洋のモナリザの現物に近づくことは出来ませんでした。作家アンドレ・マルローのエピソードをはじめとして、盗もうという人間が後を絶たないらしい。


みどころはズバリ彫刻で、よその寺院と比べてもクオリティが抜きん出ている。







長い道のり


次なる目的地のクバール・スピアンは、バンテアイ・スレイからさらに進んだ山の上にありました。

運転手のクート。なんでこの男がまだクビになっていないかというと、うっかりクビを宣告するタイミングを逃してしまったためです。

ガタガタと揺れる走行中のトゥクトゥクから、農村風景を撮影しつつ向かいます。

巨人の形をした木。


なんだろう…よくわかりません。ウルトラ怪獣ドドンゴみたいなのがいますね。



まぶしい赤い屋根の高床式住居。農家の人達は、大体こういう気持ちのいい建物に住んでいます。ちょっと正倉院みたいですよね。


色あざやかに飾り付けられた結婚式場。クートは、「メレー」とカンボジア訛りの英語で発音していました。


クバール・スピアン


クバール・スピアンというのは、川の源流を意味する言葉だそうです。

岩の上にちょこんと座っているのがクート。一人歩きは危ないと地球の歩き方に書いてあったため、ここへだけはついてきてもらいました。

シェムリアップ川の源流にあたるその場所を目指して、駐車場から山道をヒョロヒョロと登っていくと…。

なかなかの景色!

断崖+バナナ(レアな組み合わせ)。サルとか呼べるのでしょうか。

そして目的地。
うえー、たったこれだけッスか!?

川岸の岩に刻み込まれたヒンドゥーの神々。これはこれでいいのですが、ちょっと物足りない。
しかし、得も言われぬ静謐さが辺りを満たしていて、



密林の合間を縫って、蝶たちがひらひらと舞っていたりします。

1000のリンガ



1000のリンガと呼ばれるエリア。浅い川底には無数のリンガが設置されています。
リンガとは男性器の象徴なのですが、リンガを通過した川の水は、聖なる力を持つようになるのだそうです。日本で同じことをすると水質汚染チックな印象を持たれてしまいそうですけど、文化が違えば意味合いも変わる。男性としてはなんだか誇らしいですよネ。

…の上にかけられた丸木橋を、ふらふらしながら渡っていく女性。

これはヨニ。

この滝には割と崖っぷちまで寄れるのですが、うっかり転んでしまい、下は滑りやすい落ち葉ですからズズズズと俺は滑り落ちていく。死ぬかと思ったよ…。
まあ、そんなに寄ってなかったからどうってことなかったんだけど。

俺が転んだのを見て、危ないと思った係の人が掃除を始めてる。

ドドドドドドドド…。こんなところで死にたくない。

その帰り道


すごい、なんだこれは…。
川辺の砂地で、蝶々たちが集っている場面に遭遇しました。よく見ると動物の糞が沢山落ちているので、そこに集まってきているのかもしれない。

クートは言いました。
「オレが石を投げるから、蝶が飛んでいるところを撮りなよ」
クートのことなんか無視して、俺は撮影を開始しました。

音を立てると逃げられてしまいそうなので、屈んだ状態で、少しずつにじり寄っていく。


俺が近寄りすぎたためか、クートが石を投げたためか、蝶たちは一斉に飛び立ち、散り散りになってしまいました。

駐車場で


トゥクトゥクを停めた駐車場のレストランで、アモク(鶏とココナッツのスープ)やココナッツドリンク、空心菜の肉汁炒めなどを食べました。
ここでアモクを頼むと、ココナッツを刳り抜いた器にスープを注いでくれる。こくがあって美味しかったので、つい意地汚くなりココナッツの皮にへばりついた実の部分まで一生懸命ほじくってしまいました。

ココナッツ料理を頼むと、なぜかクートがカッコつけて割ってくれるんですよ。店の人でもないのに、包丁を振るって。ココナッツを割るのは男の仕事なのかな?

よく冷えたココナッツのジュースがうまい! あまりにもクソ美味しかったので、毎日3個くらい飲んでましたよ。
お腹を満たして涼しい日陰のハンモックで揺られていると、瞬く間に疲れが取れていく。

次は

「バライに沈む、最後の夕陽」の巻です。乞うご期待!!