青春18きっぷとレンタカーで巡る、青森ねぷた霊場ツアー 〜前編


どうしてここしばらく更新がなかったのかというと、ふとした思い付きから、青森に旅立っていたのでした。ニート生活が長すぎてノーマニーノーフューチャーということもあり、青春18きっぷを有効利用すべく基本的には鈍行ばかりを使用しています。

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東京を出て、宇都宮のマクドナルドで一泊。18きっぷの使用は、日付が変わった直後の駅であるさいたま新都心駅からのスタートです。ここから20時間くらいはどうしてもかかってしまうので、諦めて受け入れるしかない。

8/7



3000円積んで盛岡からヨーデル号というバスで弘前に向かい、経由して五所川原へ向かうことにした。誰もいない闇夜の弘前城をうろついたあと、バイトの田中さんの笑顔が可愛いナポリタンというお店でナポリタンを食す。
その日の立ちねぷたが終わったばかりの五所川原にはまだまだ熱気が立ちこめていて、「やってまれやってまれ!」と男性が気合を入れたりしている。お祭り効果か、川べりのホテルは満室。河川敷には夥しい数の車が…。
とにかく夜露をしのぐ場所が必要だったので、朝までやっているという居酒屋をラーメン屋さんから紹介してもらい、そこで夜明かしをした。ホタテにイカの刺身、ホヤとウーロンハイ。さすがに海鮮は美味いね!

津軽半島をめぐる予定だと話したら、マスターの徳さんが色々な津軽情報を提供してくれた。立ちねぷたの最終日である翌日には、吉幾三が歌いに来るんだって。
浴衣のキャバ嬢だかコンパニオンを連れてきた老紳士が、本気で性交渉を迫っている一部始終を興味深く盗み聞き。そういえば、カフェでも女給さんを口説いているお爺さんに出くわした。なんというか、豊かな文化の香りがする。口説かれている側の女性達も津軽弁の語感やアクセントがすごく可愛らしいの。んだんだ、とかナチュラルに使ってる。

結局、店じまいまでお世話になってしまった。銭湯まで車で連れてってやるよと申し出てもらえたんだけど、さすがに悪いので徳さんたちとはそこでお別れをした。その後、レンタカーの時間になるまで朝もやの五所川原で写真を撮りまくってた。

8/8

レンタカーで竜飛岬を目指す。まずは金木方面に寄り道。


太宰治の邸宅跡である斜陽館や、ゆかりのある寺社に立ち寄ったりしていたら、あっという間に時間がつぶれた。

海岸線に沿って車を走らす。絶景に次ぐ絶景が広がっており、なにかにつけては車を停めて、写真を撮ったり潮風を吸い込んだり。

なぜかメソポタミア風の彫刻が橋桁を飾っている…(メソポタミアじゃなかったらごめん)。

十三湖の道の駅。ここからだと十三湖は全く見えなくて、代わりになぜか長大なローラー滑り台が設置されていた。もちろんチャレンジしたよ。

アラハバキ族にゆかりのあるという十三湖。ここで食べたしじみ料理には湖水の臭いがもろに出ていた。

権現崎方面の港。漁火のついた漁船が大量に停泊している。

権現崎。崖崩れ多発により、これ以上先に進むことは出来なかった。

そこから海岸線に沿って北上し、竜飛崎へ。

竜飛崎にある、青函トンネル記念館


ちょうどあじさいが見ごろでした。そこら中で色鮮やかな花を咲かせていて、まあ美しいこと美しいこと。

竜飛崎の先端に到着。灯台の奥にある展望台から撮影。
お目当てはこの辺りにあるらしい風力発電施設の巨大な風車だったんだけど、去年撤去されたばかりとのことで見られず。

青森走ってるとたま〜に見かけるというか、六ヶ所村の入り口のところにある牧場で原子力には負けないぜ! とばかりに大活躍している風車があったりもして…なんともニクい演出だぜ。

義経海浜公園海水浴場。砂浜はなく、面白い形の岩を背景にテトラポットでぐるりと囲んだだけのシンプルな場所だ。
半島をぐるりと一周した後は、はみ出し禁止でちょっと警察に捕まったりもしたんだけど、気を取り直して青森県立美術館へ向かってみた。

常設展のみの鑑賞。展示品は郷土の作家のものばかりで、作家ごとにセクション分けされている。青木淳による建築はとても面白くて、エレベーターの中にベンチがあったりする。確かわざと迷いやすい構造にしてあるんだよね。閉館間際だったから係のひとが親切に案内してくれたけれども、放っておかれたら多分なかなか回りきれなかったと思う。

五所川原に戻ってレンタカーを返却したら、いよいよ念願の立ちねぷただ。祭りはもう始まっているので、囃子の聞こえてくる方角へとダッシュ。法被をはおりながら会場へ急ぐ女の子たちに途中で追い越されたりもした。

2006年度版のビデオをBGMにお楽しみください。





最大で体高22メートルにも及ぶ立ちねぷたは、壮観としか言いようがない。


この少年…。

この少年は、巨大なねぷたと孤独に闘い続けていた。勝てないものと闘っちゃ、絶対ダメなのに!!


ラストには吉幾三が登場し、立ちねぷたの歌を大熱唱。IKZO対大群衆による「やってまれやってまれ!」のコールアンドレスポンスが熱すぎて、気が狂いそうになった。IKZOが全部持ってっちゃった感じだね…。写真がないのが本当に残念。

閉会宣言。

祭りがはねた後は、地元の若者達が「やってまれやってまれ!」と声を張り上げながら通りで大暴れ。楽器の音は止んでいる。重ねられた声帯のふるえが、真夏の粘ついた闇を健気に押し戻していく感じ。

もう上半身ビキニの女の子やなんかが、輪になりグルグル大回転ですよ。


肩車で練り歩いたり、銀のキラキラを散らしたり。ときめきが抑えきれず、胸の奥底がちりちりと焦がれゆくような大喧騒でした。いいなー!
〈後編:青春18きっぷとレンタカーで巡る、青森ねぷた霊場ツアー 〜後編