灼熱の仏教テーマパークで、仏陀の足跡を辿る

バイラワを経由し、仏陀の生誕地ルンビニへ。

24時間燃え続けるという平和の火。
気温は40度を越えており、気を付けていなければあっという間に脱水と熱射病の初期症状に苛まれてしまう。ルンビニはネパール南西部、灼熱のタライ平原に位置しています。
前回:リトル・ブッダの古都から、謎の絶景☆モンキー寺院へ

5月25日


砂埃舞う車道でナイトバスから放り出されて、時計を見ると朝の七時半。昨晩はおばさんに圧殺されて一睡もできなかったので、ひとまずはロッジの発見を最優先事項としなくてはならない。

ブロークンな英語でオーナーを困らせながらもチェックインを辛うじて済ませ、速攻でベッドに横たわる。天井のファンが風を送ってくれているけれども、気温が40度越えてるから暑くて暑くて寝苦しい。寝苦しいのに一瞬で意識を失ってしまい、目が覚めたら昼の1時を過ぎているという。即アポ即涅槃余裕でした。

聖園地区をめぐる


ロッジのレンタサイクルで、ルンビニの聖園をぐるりと巡ることに。
ルンビニの聖園地区には世界各国の仏教寺院が百花繚乱していて、仏教のテーマパークというか、仏教パノラマ博覧会の様相を呈している。

マナン寺


韓国寺



いかにも作り物めいた建築が多い中、韓国寺の素朴で細やかな建物はどこから見ても際立っていた。韓国の建築って、素直にいいと思えるなあ。

中国寺


犬はここでもやはり、眠っているか死にかけるかしていた。

日本寺



全体的な印象としては日本風でまとめてあるんだけど、木を使わずコンクリートや石のみで築かれているのが奇妙な感じ。

タイ寺


目の醒めるような白が印象的だった。

お堂にふらりと立ち寄ったら、さっきからその辺を歩いてたアジアの女の子が、にわかに膝をついてハハーッと仏像を拝み倒しはじめた。両腕を勢いよく上げたり床に平伏したりして、照れや躊躇が一切ないの。なんとラディカルな礼拝…タイの人だったのかな。

Under Construction...

なんか、ルンビニって全体的に作りかけなんだよね。

これは日本寺。

これは中国寺。
1985年より、丹下健三のマスタープランに従って建設が開始されたこのエリア、2008年の今となってもまだ半分くらいしか完成していない。中国寺の写真はよく見ると工事のオッチャンが扉の陰で爆睡したりしていて、あまり完成を急いでいる様子もないし…。資金が足りなかったり、資材が届かなかったりするのかな。

セメントの機械が絶賛稼動中だったり、

普通に足場が組んであったりする。

工事してる横からナマステーと近づいていって、ちょこちょこっと見せてもらう感じ。

バターランプの燈火


お爺さんから献灯をして行かないかと勧められ、バターランプに灯をともすことに。
ライターを手渡されてから念のために値段を尋ねたところ、「20 rupee...」と気まずそうな顔で答える老人。タダを装って後からお金を要求するという、ネパールでは日常茶飯事の手口です。
20ルピーくらいくれてやるから、早く完成させてください思った。

日本山妙法寺

遮る物がない頭上から烈日赫々、せめてもの慰めをと思ってガイドブックを日除けにします。肌がもうすっかりきつね色に灼けちゃってる。

ルオーの絵みたいな構図になった。
このお寺には日本がお金を出しているからなのかな。警備の人から敬語で「ナマスカール」と挨拶をされてしまった。

ドイツ寺


回らないマニ車の模型があったり、池の中には盲亀の浮木フィギュアがあったりして、全体的にタイガーバームガーデン風味。

マンダラ天井は見所かもしれない。でも塗りがペンキっぽい。

マーヤー聖堂と、アショーカ王の石柱

聖園地区の中央、プスカリニ池に囲まれたφ形の区画には、アショーカ王の石柱とマーヤー聖堂がある。

石柱には、仏陀の生誕地であるここをアショーカ王が訪れたときの事績を記した碑文が刻まれているんだって。もっとも、オリジナルの石柱は『大唐西域記』の時代には既に落雷で失われていたらしい。
現存しているのは電信柱みたいなピッカピカのやつで、そこにピッカピカの碑文が刻まれているもんだから、単に胡散臭い印象ばかりが記憶に留められるという…。

色鮮やかなタルチョがそこかしこではためいている。
マーヤー聖堂はブッダの母親からその名を取られており、建物の中にはブッダの生誕位置を示すという石が展示されていた。これもちょっと何ともいえない感じで、観光地化するために無理やり話題づくりしている感が否めない。

ルンビニ・ビレッジ・ロッジ

ものの半日で聖園地区を巡り終え、ルンビニ・ビレッジ・ロッジへと帰還。着ている物が全体的に異臭を放ちはじめたので、中庭のポンプや置いてあった盥を勝手に使い、久々の洗濯をすることにした。
蚊に刺されまくりながらユニクロダイソーで揃えたボロ切れのような衣服をゴシゴシ手で揉んだり絞ったりしていたところ、「フンフンフーン、ルールルゥー♪」と、夕餉の香りを立たせている食堂の方角から女の子の歌声が聞こえてくる。
グヘヘヘヘ…女の子がご機嫌で歌いながら作ってくれるメシなんて最高だぜ、と思ったので、卵入りのフライドライスを注文した。単純な料理ながら千切りのキャベツで甘みが加えてあったりして、とても美味しかったです。
もう一日いればカピラバストゥも見れたんだけど、早く象に会いたいので、次の目的地であるチトワン国立公園へ急ぐことにした。
アルバム : ルンビニ

渡航の是非を検討してください。

実は、このルンビニや次の目的地であるチトワンは、外務省の海外安全情報というサイトにおいて、”渡航の是非を検討してください”、という準紛争地域的な扱いを受けてしまっています。
数年前に激しい銃撃戦が繰り広げられ、数十人の死傷者が出たらしい。全てのトラップを発動させる俺とはいえ、この辺りで危険なことが起こったのは過去の話で、最近は大丈夫だという話を色んな人から直接聞いたうえで若干びびりながらここまで来てる。
これから情勢が変化する可能性も大いにあると思うので、訪れる際は、以下のサイトなどで事前に最新の情報を集めておくがベスト。