暴風半島、今さらキャッツアイ


ふとした思い付きで、終電で館山を目指してしまった。

房総半島の先端。南国ムードで軒並み飾り立てられたこの街は、3月下旬で既に春の陽気。


ナイトシューティングをひとしきり済ませてから、マクドナルドで夜を明かす。

しかし上の写真、ハッピーセットのシマウマとパーカーのシマシマがおそろいで、草食系男子とでも言いたいんだろうか…。(キモい…)

那古寺


内房を巡りつつ、館山を北上していきます。
この那古寺、本堂のなかに安珍清姫の木刻が飾ってあって、物凄い迫力でした。残念ながら写真は撮らせてもらえなかったけどこの感動を誰かに伝えたい。

花壇で存在を主張するマックスコーヒー…。


1時間に1本の電車に乗り込み、鋸山へ向かう。

鋸山


ずっと憧れていた鋸山、都内からのアクセスも抜群な内房の秘境です。

ちょっとしたハイキングコース。頂上に向かう階段の数は「全部で○○段です」と事前に予告されているのですが、1段1段数えながら予告されていた階段数を登りきったあとも、延々と続く坂道…。確かにウソではなかったけれども、こんなのは詐欺だと思うな。

山桜を眺めやりつつ更に登ると、

見晴るかす漁港の街並み。


頂上付近の石切り場。そして、憧れの地獄のぞきです。



日本列島は暴風に見舞われ、鋸山の頂上には遮蔽物がなく、始終手すりに掴まっていなければ足元を掬われて立っていられないほどでした。よりにもよって、転げ落ちたら一発アウトのこんな不安定な岩場で暴風に苛まれなくてもいいのに…と我が身を嘆いている暇もなく、天候が悪化していくものだから早く山を降りなくてはならない。

千五百羅漢〜日本寺



岩肌をくり抜いたスペースを埋め尽くす、石仏の群れ。千五百羅漢です。英語表記が1,500Arahatとなっているのがカッコよかった。

日本寺まで下っていくと、体高31メートルという日本最大の磨崖仏が姿を現します。


人々の本性の限りない解脱自由と、世界平和万世太平の大象徴であります…。

山を降り、海岸線沿いを逍遥しながら保田の駅を目指す。


木更津


そして、最終目的地の木更津へ。



謎の習性に衝き動かされ、いちはやく”きみさらずタワー”を目指してしまったことを俺はけして後悔していない。

頂上の展望台。

暴風と小雨の責め苦に遭いつつも、どうしても立ち去る気になれない。(”君去らずタワー”ですからネ)
そしてひと際高いところには、(たぶん)イザナギノミコトとイザナミノミコトを象った彫刻が…。

「あなにやし、えおとめを」

「あなにやし、えおとこを」
このニ神によるまぐわいが日本列島を産み落とすことになるのですが、その際、声をかけるのは男からでなくてはならなかった。女から声をかけてまぐわるとヒルコが生まれてしまうから、男から声をかけなくてはならないのです。
きみさらずタワーは森に囲まれた小高い丘の上にあって、ちなみに最寄のバス停は恋の森と言う名前なので近代以前にはどんな場所だったのかについて妄想を膨らませたくなってしまう。

證誠寺


遅い昼食をとったラーメン屋には、やっさいラーメンもっさいラーメンなどの品目が…。ついに来たんだ、木更津キャッツアイの舞台となたあの木更津に来たんだ…と感慨もひとしお。

港を歩きがてら、しょじょ寺のタヌキで有名な證誠寺に向かいます。

この寺にどんな昔話が残されているのかというと、お寺に遊びに来るタヌキを可愛がっていた和尚さんは、ある朝、お腹を叩きすぎたタヌキが腹部が破裂して一斉に死んでいるのを目撃してしまう…とのことなのですが、普通だったら、近隣に住む猟師をうたぐるべきです。
(これは自分に対する嫌がらせなんじゃないだろうか。いつだったか略式でお経を上げてしまったことを、あの猟師はいつまでもグチグチと根に持っていて、それで可愛がってたタヌキを一匹一匹撃ち殺していったんじゃないだろうか)

ところが和尚さんは、「お腹を叩きすぎて死んでしまった」のだと解釈した。検死をしたわけでもないのに、これはなぜでしょう。ポンポコといういつもの腹鼓が一斉に鳴り止んだため、そういう考えに至ったのでしょうか。
もしかしたらその和尚さんにだって、猟師が一番疑わしく思えていたのかもしれない。けれども、「タヌキたちが死んで悲しい…。でも、殺生をした猟師を憎んだりしたくない!!」という綺麗な心の持ち主だったため、そんなような脳内解決方法をわざと選び取ることにしたのかもしれない…。
商店街を駅に向かって歩いていると、

ジーがいた。

本当にあったのか!!

木更津キャッツアイの世界に迷い込んでしまったかのような錯覚を受けますね。

というわけで


駅前のスタバでゆっくりしてから帰ることにしました。
アクアラインや海ほたるに行きそびれてしまったのが心残りだったけど、しみじみと楽しい良い1日になりました。みなさんも一度行ってみてはいかがでしょうか!