六本木アートナイトは、こんなイベントだった



人間50年…「あの夜のことは間違いだった」と後から言われてションボリしないようにしたいものですが、すっかり徹夜できなくなってしまった三十路の男性が『一夜限りのアートイベント』を取材してまいりました。


六本木一丁目からヒルズ方面に向かって歩いていく途中で、アートナイトのロゴを背負った飛行船を目撃。たまたまコースがかぶっていたらしく、ずっと頭の上に飛行船を連れていく格好となったため、いざなわれているみたいな感覚だった。

国立新美術館


美術館通りを通って国立新美術館へ。
前庭には3つのアートキューブが特設されていました。アートキューブというのは美術家の日比谷克彦がディレクションした小型の展示スペースで、六本木のいたるところに設置されているんですが、

これはその中の1つに展示されていたカメラ。写真家石川直樹が飛行船で旅をしていて海に墜落したとき、数年経ってから海岸に打ち上げられていたところを発見されたという存在自体が奇跡のようなアーティファクトです。前述の飛行船も墜落っぽく撮られてますけど、深層心理を占めていたのは北朝鮮のミサイルのことでした。

大平實によるバスケットのような質感の作品。前述の石川も含め、ここで開催されている「アーティストファイル2009」というグループ展に参加している作家だったりします。


これは《GINGA》というパレード参加型の作品で、光る風船を手にした1000人が街なかを行進するというもの。1000人という定員は瞬く間にあふれたらしく、スタート地点となる新美術館にはキャンセル待ちの長蛇の列ができていました。
アコーディオンとサックスというジャズデュオのライブや、作家による作品解説なんかも同時に催されていました。ジャズはフリー寄りの演奏で、アーティストファイル2009をフィーチャーしたという触れ込み。

アートキューブ


オノマトペらしきものが散りばめられた中央で、ピンクのチューブらしきものを組み合わせたオブジェが回転している。

これが何かというと、プラモのパーツ(枠ごと)を組み合わせたオブジェが回転しています。

これは、木板を組み合わせたオブジェが回転しています。

これはテディベアの検品工場。むごたらしい格好で引きずられたテディベアたちが、ベルトコンベアのように回転しています。

このアートキューブには、お姉さんが住んでいました。お姉さんこそ回っていないものの、頭につけたミラーボールや中央のすだれが回転しています。
どうやら”回転”というのがアートキューブ*1に共通した1つのキーワードらしく思える。ただ、だからなんなのかは全くわかりませんでした。
ホワイトキューブという言葉があって、白くてカクカクしたいわゆる通常の展示空間を指し示しているんだけども、今回のアートキューブは文字通りのホワイトキューブ型展示空間でした。ただ、とても安っぽく作られていてホワイトキューブに付きまといがちな権威は感じさせようがない。
脱・ホワイトキューブのようなことが近年はよく叫ばれていて、農村や倉庫や島などをアート的な場として利用するのが流行りみたいなのですが、パブリックアートの文脈でわざわざ美術館の外にホワイトキューブを設置するという今回の試みは、かようなトレンドに対していくらか挑発的に感じられました。わざとだったら面白いなあと思います。

六本木ヒルズ

六本木アートナイトにメイン会場があるのだとしたら、ここヒルズだと思います。タワーをぐるりと囲むようにしていくつもの作品が展示されていました。


藤原隆洋の《into the blue》。これを見た人は10人中8人が「ウンコだ!」と嬉しそうに叫んでいました。ただ、近寄って眺めてみるとどっちかといえば大腸に近いため、「ウンコだ!」と叫んだあとに「大腸か…」と呟く人がけっこうな割合いました(趣味:人間観察)。

ドゥ・ジェンジュンの《私はあなたの跡を消す》。観客がフロアを踏みしめたそばから、全裸の男性が雑巾やモップをかけ始めるという得も言われぬ作品。

開発好明による《森の中の発泡庭》。

このワンコも《森の中の発泡庭》の中の1つ。可愛いワンコというのは仮の姿で、素顔はみすぼらしい男性。


ポリタンクから泡がポコポコ湧いてくる、丸山純子の《泡花壇》。

パブリックアートの典型的な失敗例である?ヒルズの番人クモ型宇宙人も、この日ばかりは水を得た魚のように見えました。

クラブイベント


入場無料のクラブイベント。よくわからないからヤケクソで踊った。

毛利庭園



立川の昭和記念公園や、横浜トリエンナーレ2008の三渓園にあったものと同じ中谷芙二子による設計。今回はとにかく、ライトアップされた毛利庭園という素材が活きてる。


六本木は瞬時にタルコフスキーの世界へ。


3月末とは到底思えないような真冬の冷え込みで、外は地獄のような寒さ。

桜は3分咲きというところ。

ジャイアントトラやん


トラやんファイヤー!!

前述のように非常に寒かったため、暖房効果はバツグンでした!!!
ジャイアントトラやんを観るのも既に三回目だし、マンネリズムを感じつつあります。バーニヤで空を飛んだり、10回火を噴いたら1回人間が死ぬ程度のエキサイティングさを希望。

そして朝

このあともミッドタウンでジャズライブや寄席などがあったのですが、あまりにも外が寒かったために移動を断念。ヒルズから動かずに夜を明かしたというショボい幕切れ…。

*1:新美設置作品を除く