アイスランド、脅威の地熱パワー


世界中の空路を麻痺させるマグマの力とは、一体どれほどのものなのでしょうか。
アイスランドができたのは1700〜2000万年前で、これはヨーロッパで最も若い部類に入るそうです。マグマの活動が活発で、22の活火山と250の地熱地帯、780の温泉があるとされており、今でも比較的小刻みなタイムスケールで国土が姿を変え続けています。
ミーヴァトン湖の周辺エリアは、そうした地熱地帯の中でもアイスランドの代表的なものです。
看板
関連エントリ:アイスランドを一周してきた


クラプラ地熱発電


クラプラの地熱発電所を、坂の上から見下ろす。*1







電力供給源をクリーンエネルギー100%に切り替えようという動きが促進されているため、こうしたSFチックな発電所や化学プラントを国のあちこちで見かけることができます。*2


ナゥマフィヤットル/クヴェーラロンド


瘴気に包まれたこの一角は、ナウマフィヤットルの麓に広がるクヴェーラロンドという地熱地帯です。








暖かそうな外見とは裏腹に、狂い死にしそうな寒さ。泥の池がそこら中でボコボコと泡を立てていて、瘴気は漂っているし、異世界すぎて自分がこんな場所に行っていたのだということが全く信じられません。

ディムボルギル


山頂の駐車場からクヴェルフィヤットルを望む。2500年前に隆起した溶岩の迷宮、ディムボルギル(黒い城)。時間がなかったので山頂まで車で来てしまいました。

頂上のカフェテリアで、燻製サーモンのパイとエスプレッソの朝食。

クヴェルフィヤットル


クヴェルフィヤットルでは、俺がホビットなら指環を捨てに行くであろう見事なクレーターを見ることができました。

こんな怖ろしい斜面を上り下りしました。凍っててツルツルです。
砂利が露出しているところへスニーカーの靴底を押し当て、摩擦力で足場を確保するというコツを掴めたあたりから上り下りがスムーズに出来るようになりました。氷ばかりなだけに、旅の間じゅうずっとグリップのことを考え続けていたような気がします。

水たまりにはまって、また車が動かなくなりました。見た目よりかなり深くてシャーシの下部が水に浸かるほどなのに、厚く氷が張っていたので遠目には全く分からないという…。タイヤが砂利や泥水を巻き上げて空転するばかりだったために青ざめましたが、頑張って運転したらなんとかなりました。

アイスランドを甘く見てはならない


見渡す限りの大雪原にテンションが急上昇し、車から降りて写真を撮りまくっているの図。

豪雪で間もなく視界はかき消され、道の存在を示すものは黄色いポールだけ。

一瞬でも見落とすとこうなる…という状態が何時間も続くので、神経を使います。


この時は、地元の男性が偶然直後に通りかかり、レスキュー車を呼んでくれたおかげで九死に一生を得ました。*3隣町からクレーン車が来るまでの間自宅に招き入れてくれ、フグルーンという奥さん、ビルタという美しい娘さんとともにテーブルを囲んで朝食をごちそうになったり、一緒に観光地図を眺めたり、英語の教科書で勉強したりして過ごしました。

ナゥマスカルズ・パス → ビヤルトナルフラグ


ナゥマスカルズ・パスと呼ばれる峠を越えると、ミーヴァトン湖*4とレイキャフリーズの町が眼下に広がりはじめます。



ビヤルトナルフラグの青い温泉が、硫黄臭い湯気を立てています。背後で濛々と煙を吐き続けているのはダイアトマイト工場(珪素工場)で、これらの景色は1984年のナゥマフィヤットル噴火のさい地殻変動によってもたらされたらしいのですが、それにしても現実みのない光景です。

その夕べ


ゴアテックスジャケットのフードを目深に被り、雪を踏みしめながらビヤルトナルフラグの周辺を徘徊しました。



ここもダイアトマイト工場だろうか?
硫黄臭い蒸気がモクモクと立ちまくっている。

三角を貼り合わせたような謎のドームを発見。ストロボを焚いてみると…。

ギャーッ!!! ヴァルード ハイットゥレガル ロプッテグンディル!?!?!?


その毒っぽいドームから煙突まで、パイプが繋がっています。

逃げ帰るようにしてレイキャフリーズの町に戻ると、ヴェルスルン・スーパーマーケットの都市的な灯りがまだしも暖かく感じられました。

ゲストハウス Vogur


漂泊した先は、プレハブ小屋を改装したゲストハウス。ぬくもりのある内装で、他に客がいないので共用スペースが貸し切り状態。パーティが出来そうなリビングを陣取って、ブラウン管のワイドテレビを点けたままごろ寝します。



アイスランドのテレビは放映時間が短くて、朝の10:30ごろからアルシンギと呼ばれる国民議会の模様が中継されたり、映画が流されたりするんですけど、深夜から早朝まではカラーパターン付きのラジオ放送が流れていたような気がしました。
核戦争後に生き残ったら、きっとこんな風にして過ごすんだろうなあ。

アイスランドの地熱スポット

その他、アイスランドの地熱スポットを紹介します。

■クヴェーラゲルジ



これは地熱を利用した温室。クヴェーラゲルジは地熱スポットを中心に公園が広がっていました。
かつては季節を問わず植物を楽しむことができるEDENというスポットがあったのですが、経済破綻を前後して閉鎖されてしまいました。



ブルーラグーン



ケプラヴィーク空港から直通バスの出ている超有名スポットです。泥パックとかが無料で楽しめますが、湯温はかなり低く、露天はさすがに寒かった。でもまた行きたい!!!


 

*1:この坂の思い出は、今でも恐怖とともに蘇ってきます…。自動車のタイヤを氷に取られてグリップが微塵も生まれなくなり、アクセルを踏んでも車は急な坂道を後退していくばかり。真横が崖なので、死の恐怖を感じました。ハンドブレーキを引いてギアをローにし、ハンドルを左右に小刻みに振りながら半クラッチのままアクセルを全開にすることで辛うじて路面が捉えられ、坂を登り切れたんですけど、登り切ったら登り切ったでタイヤが積雪に埋もれてしまい、全く走らなくなって半泣きで穴を掘ったり通りがかりの人に押してもらったりでようやく助かりました

*2:アイスランド発電所の真の姿は核ミサイルの発射基地であり、潜入してコードを解除しミサイルの発射を阻止する…というスパイゲームを昔Xbox360で遊んだことがあります。全然関係ないですけど

*3:幸い、車も人間も無傷でした。レスキュー代は50000アイスランドクローナ=4万円くらい

*4:蚊の柱を意味する